移り行く世の中で生きるビジネスパーソンへ贈る、新しい時代に自分軸を持つ思考のヒント-代表取締役 壁山 恵美子-
仕事を優先しがちな性格と習慣
「今年やりたいこと」を決めているにもかかわらず、日々の仕事に追われ、取引先やお客様の都合で予定が調整されることが多く、自分のことを後回しにしてしまうことがよくあります。この傾向は特にここ数年強まり、気づけばあっという間に1年が過ぎてしまいます。
数年前から「音楽を生活に取り戻したい」と考えていました。3歳からピアノを始め、高校受験までレッスンを受けていたため、大人になってから自分の意志で「再びピアノを弾きたい」と思うようになりました。楽器演奏を生活の一部にすることを目指していました。
4年前に友人から譲り受けた三線(沖縄の弦楽器)がきっかけで、毎週レッスンを受けようと決めたものの、コロナ禍で通学が難しくなり、リモートレッスンも調整が難しくて自然とフェードアウトしてしまいました。
昨年、仕事で疲れていたときに目にした動画に魅了され、「ハンマー・ダルシマー」という楽器を手に入れました。この楽器は台形型の木製の箱に鉄弦が張られ、木製のハンマーで叩いて音を奏でるもので、ペルシャ発祥の「サントゥール」が基になっていると言われています。そのエキゾチックな音色に心を動かされ、知人のアトリエでの演奏会に参加する機会を得て個人レッスンを受ける約束をしましたが、帰国後に再び忙しくなり、レッスンの時間が取れない現実が続いています。
やりたいことの優先順位を見直す
1年が経つのは本当に早く感じます。24時間365日は誰にでも平等に与えられていますが、やりたいことややらなければならないことが多いほど、時間の流れは速く感じられます。
「時間管理のマトリックス」という概念をご存知でしょうか?これは「緊急」と「重要」の2つの軸で4つの領域を示します。たとえば、「①緊急かつ重要」には締め切りのある仕事が含まれ、「②緊急ではないが重要」には自己成長や能力を高めることが入ります。一方、「③緊急だが重要でない」には関係のない電話や会議があり、「④緊急でも重要でもない」には暇つぶしが該当します。このマトリックスからは、①の領域に時間を奪われすぎると、②の領域が疎かになり、将来の重要なことに対処できなくなることがわかります。
音楽は私にとって自己研鑽の一環であり、②の領域に位置づけられます。ここで私は、「やりたいこと」を掲げているが、それが本当に自分のやりたいことなのか疑問を持ちました。映画『天使にラブ・ソングを2』のセリフで「あなたが朝、目覚めて歌うことしか考えられないなら、あなたは歌手になるべきよ」という言葉が心に残っています。このセリフは、やりたいことであれば四六時中そのことを考え、寝ても覚めてもそのことをやりたいと思っていることを示していると思います。この言葉を思い出し、日々の仕事を優先する自分が本当にやりたいことを追求しているのか再評価することにしました。
このような考えから、2024年は「なんとなくやってみたい」と思っていることを即座に「やりたいこと」と決めつけず、その幻想から解放され、自分の行動を優先する方針にしました。
もし読者の中にやりたいことができていないと感じている方がいれば、その「やりたいこと」が本当に重要なのかを見直すことをお勧めします。